うどん「大内宿のねぎそばって、めっちゃ有名なんだよ！福島県にある大内宿っていう古い宿場町で、その名物なんだけど、箸の代わりにねぎ使って食べるの！あ、もちろん薬味としてかじりながら食べるんだけどね。ねぎ好きには堪らないよね～！！」

と、ねぎそばについて熱苦しく語る妻・うどんの要望で、俺たち夫婦＋お掃除ロボットの山田は今、福島県の大内宿に来ている。

目の前でキャーキャー言いながらねぎで蕎麦を喰らう妻を生暖かい目で見つめながら、さほどネギ好きではない俺は箸で蕎麦を啜っている。つゆには醤油や出汁は用いず、辛味大根の絞り汁だけで作られていて、さっぱり食べやすい。蕎麦そのものの風味も味わえて旨い。

などと食通ぶって蕎麦を啜る俺に奇声？のようなモーター音を響かせながら、お掃除ロボットの山田が突進してくる。

お掃除ロボット山田(以下・山田)『旦那っちィィィィィ！！やっべえ！！めっちゃオトク物件が田村市で出ましたぜ！！！建物が建っている宅地（658.99㎡）と建物が建っていない宅地（263.09㎡）のセット販売でワンコインだぜ？！』

うどん「えっ！？何ソレめっちゃオトクー！！田村市ならここから2時間くらいだから…ちょっと見にいっちゃう？？」

と、まだ蕎麦を啜っている俺を無理やりうどん号に押し込め、田村市にアクセル全開で向かう妻。蕎麦が口から出てきそうだ･･･。

山田『福島県田村市は自然が豊かで、特に秋の紅葉とか、春の桜とか、めっちゃキレイらしいッスわ。樹齢約100年のソメイヨシノ・小沢の桜や、特にあぶくま洞！天井から下がる鍾乳石や床下からにょきにょき生えてる石筍（せきじゅん）が幻想的な洞内を、アドレナリン全開で探検出来るんスよ！あと星の村天文台！最高の星空を眺められるし、プラネタリウムもあるんスよ。しかも田村市には歴史的な建造物や史跡もたくさんあって、その中でも町のシンボルともいえるのが常盤城！』

山田『そんで町の人たちはめっちゃフレンドリーで、地域のイベントやお祭りに参加するとすぐに仲良くなれるらしいッス。地元の食い物もヤベェ旨いらしいッスわ。そばやお酒、地元でとれた野菜とか、めっちゃ新鮮で美味しいンすわ。』

お、おう。ハイテンションな物件地wikiありがとう…。久しぶりの空き家ハンティングでめちゃくちゃテンション高いな…。

うどん「って、山田のハイテンション田村市wiki聞いてたら田村市に着いたね。ここ来るまで周辺環境チェックしてたけど、飲食店やスーパーもあって生活しやすそう！磐越自動車道・船引三春ICから車で約15 分で来られるし、最寄り駅の磐城常葉駅までは車で数分、徒歩でも27分程度らしいから、交通の便もそんなに悪くないよね。」

船引町はスーパーや大型書店、ファストフード店が集まるショッピングセンターや、量販店・ロードサイド店があるから生活に困らないらしいよ。そして田村市ではお試し移住や0円でチャレンジ出来るお試しチャレンジショップ、林業を始めたい人への支援策も充実しているから、移住して何か始めたいという人にオススメの自治体なんだ。

うどん「へぇ~！それなら移住するメリットもありそうだね。って、敷地広いー！！」

思ってたより広いなあ~！しかもここからすぐの土地もセットでワンコインらしいんだよ。

セット販売の宅地物件

山田『じゃあ…ココは俺っち専用のサーキットコー･･･』

うどん「隣接こそしてないけどすぐ近くだから、来客用の駐車場にしちゃうのもいいかもね！あっ、でもプレハブハウスを置いて、小さいショップとかカフェとか…起業するなら事務所にしちゃうのもアリかも。隣接してないからプライベートエリアと分けやすいし！」

と、山田の発言を絶妙なタイミングで遮る妻。ははは･･･もうひとつの土地活用案は、メインを見てから決めてもいいんじゃないかな。

山田『(ﾁｪｯ)って、めちゃくちゃ廃墟感バツグンじゃねえッスか。近所のガキ共の肝試しスポット確定レベルじゃね？？』

ああ、物件のダメージがひどいって話で、2階部分は危険だから上がらないでくれって。建物が崩れる可能性もないとは言えない感じの物件なんだ。

うどん「広めのバルコニーもあって立派だけど…そうなると更地にして新しく建て直すほうが安上がりかもねえ…。」

まあ1階だけは活かせるかもしれないし、とりあえず見てみよう。と言いながらドアオープン。

15，6年前から空き家らしく、震災時には既に空き家だったせいか物が散乱したり壊れているね…。

うどん「玄関めちゃくちゃ広い！あとこのガラス戸、大きくていいねー！奥のシャンデリア風ライトもエモい！！」

『玄関広いッスねー！めっちゃ走りやすいッス！！』と走り回る山田。相変わらず遠慮ってモノがないな。

ガラス戸の向こうは洋室と2階に上がる階段が。先述した通り、倒壊の恐れがあるようだから、気になるけど我慢我慢･･･。

うどん「事前情報で聞いていたけど、蜘蛛の巣すごいねえ…。でも倒壊の心配がないなら、リノベしてこのレトロ感を活かしたかったなあ…。」

まあ、他の部屋の状態も見つつ、残せるかどうか専門家に見てもらってもいいかもしれないよね。

というワケで、洋室を出て廊下へ。カーテンで薄暗いが、隙間から漏れる日差しの様子からも、日当たり抜群な縁側なんだろうな、と推測出来る。

山田『にゃんズも嬉しい日向ぼっこスポットが出来そうじゃね？まあ俺っちが昼寝の邪魔してやりますけどね。』

残置物もそこそこあって、ちょっと処分に気後れしそうなものも混じっているな…。

うどん「この和室自体も広いし、あの白い幕の向こうにも部屋がありそうだね…！ちょっと見に行くのは気が引けるけど…。」

ははは、そうだね。じゃあ室内はこのくらいにして、この縁側の外がどうなっているか見てこようか。

うどん「わー！ここにウッドデッキとか作って天気のいい日にランチしたり、風呂上りに星空眺めながらビールを楽しんだりって出来たらいいよねー！！」

そうだね。ガレージとしても良さそうだし、雨の日の買い物はここから室内にアクセス出来たら濡れずにすみそうだ。ただ残して何とかリノベするにしても、2階部分は撤去しないといけないからなあ…。そうなると潔く解体してしまったほうがいいかもね。別途解体費用はかかるけれど、2つの宅地を100円でセット購入するって考えるといいかもしれない。

新しく建てる家を依頼する業者に、解体もセットでお願いすれば多少安くなる場合もあるだろうし、田村市では県外からの移住者へ最大200万円の移住支援金と、Uターン者限定だけど10万円の引っ越し費用を補助する施策もあるらしい。

うどん「そういう移住支援を活用すれば、さらにオトクに理想のマイホームが建てられそうよね！？やっだぁ･･･妄想フルスロットルしちゃう！！ゲストハウス運営？？それとも田村市の林業を活かした木の雑貨を販売するお店経営？？あっ、ここでねぎそば屋オープンするのもアリ？？」

山田『じゃあ庭の一角に俺っち専用のサーキットコースをだな…』

なんて、きゃいきゃいはしゃぐ妻とお掃除ロボットを横目に、さっそくオーナーさんへ電話を入れる俺なのであった。

ちなみに俺はミニ常盤城を建てようかな、と密かに思っている。

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