世の中、パラレルワークの時代･･･だよなあ。

あっ、空き家マニアの皆さんお元気ですか？？空き家マニア・うどんの旦那です。
続く不況や円安、物価爆上がりな状況･･･会社員もフリーランスも釣り師も懐事情が厳しい時代なワケで。
ひとつの仕事だけじゃ、これからの世の中は渡っていけないワケで。

釣り師も完全出来高制だしなあ。というワケでもう一つ、手に職つけたいなあと考えていたというワケで。

そんなワケで、ものづくりの聖地・新潟県の燕三条にやって来たワケで。

「物件のある新潟県三条市は金物製造が盛んで、隣の燕市と共に『ものづくりの町』として有名ッス。三条市はキャンプ用品で有名なキャプテンスタッグ、スノーピークが生まれた町なんスよ。あとエアコンとか暖房器具で有名なCORONAもここ三条が本拠地ッスからねー。三条パネえっっすわ。燕市は某リンゴの部品とか作ってる企業があったり、あの下町●●ッ●ってアベちゃんが出てる某ドラマの舞台にもなったらしいッス。ちなみに個人的にはスノピより鹿番長のほうが好きなんスよねー、俺っち。」

足元にはモーター音を鳴らしながら三条市wikiをしてくるお掃除ロボットの山田が。ちなみに以前、俺が三条市の物件紹介の際にwikiったヤツをアレンジしてるだけだよね？あとスノピって略すのヤメテ。なんでもいいけど、俺はひとり旅のつもりで来たのにいつの間についてきたんだよ…。

「そりゃあ･･･旦那っちがこっそりスマホで見ていた三条市の物件情報を俺っちの充電器経由でキャッチしたんで、夜のうちにコッソリ車中泊して潜んでたってワケ。」

･･･そんなCIAみたいな機能、搭載されているなんて知らなかったぞ。ちょっとパナ○ニックに問い合わせしてみていいか？

「まあまあまあ、そこは突然変異でこうなったってコトにしときましょーや。なーんて言ってる間に着きましたゼ旦那っち！！」

1階は5部屋と倉庫、2階は6部屋あるらしいが…デカい。これでワンコインか。最寄り駅も徒歩19分、コンビニは約8分。すぐそこは森や山だけじゃなく日帰り温泉もある･･･。え？100円でいいの？？ほんとに？

「超目玉物件ッスよねー！しかも公共下水を敷地内に引き込み済で浴室・キッチンも使える上に、外壁リフォームもされてるらしいッスよ。デメリットは築年数が還暦迎えちゃってるから老朽化しちまってて、雨漏りしてる箇所もあるらしいッス。まぁ百聞は一見に如かずッスからまずは見てみましょーや！」

と、けたたましくモーター音を鳴らしながらも上手に玄関先までたどり着く山田。せっかちなのは飼い主･･･いや持ち主似だな。なんて呟きながら玄関を開ける。

へえー･･･！とても還暦迎えているようには見えない状態の良さ。オーナーさんが丁寧に暮らしていた様子が伺えるな。何でも幼少期の頃から過ごされていた、昭和36年の第二室戸台風の時には家族を守ってくれた大切な家と聞いているが…色んな想い出があるんだろうなあ。

「やっべー！還暦とは思えない床の状態やっべえ！！」と走り回る安定の山田。そんな山田はさておき、早速部屋を見廻る俺。確かに見た感じは築60年の物件には見えないが…やはり老朽化しているところはありそうだ。

1階は5部屋と倉庫、だよな。和室だけじゃなく、子供部屋だったところは洋間仕様。昭和の家あるあるな和洋折衷だが、色を塗り替えれば他の和の雰囲気も活かしたリノベーションが出来そうだ。

･･･と、例の一部雨漏りがあるというのはコレか？？

天井裏を見てみないと何とも言えないけれど、このくらいなら天井総張り替えはしなくてもイケる…？？雨漏りしていないところは結構状態いいんだよなあ。

うーん、と唸りつつもバスルームやトイレのほうへ向かう。

バスルームは…昭和のハイセンスな家によく見られたカラーリングだな。そして比較的状態もいいから、置く雑貨に気を使うだけでも北欧風なバスルームに出来そうだ。

そして･･･気になるトイレはまさかのジャパニーズスタイル。だがしかし、レトロ柄の床シートや採光の良さで明るいこのトイレからは、あまり古さを感じない。蓋も今時ない感じだし、敢えてこのまま床や壁の色などを変える程度でも面白そうだなあ…。

そして一番気になっていた倉庫。

収納棚も多くあり、漆喰の壁や屋根の感じも程よく和の雰囲気があり、どうリノベしてやろうかとついつい妄想。ああ、夫婦ってこうして似てくるものなんだな…。もう一つの本業のためのアトリエをここに作れたら良さそうだと考えて内見に来たんだが、正解だった。

「旦那っち、もう1階は充分見たっしょ？？2階行きましょーぜ！」とひとしきり駆け回って気が済んだのか足元をぐるぐるする山田。勝手に行けばいいだろ？と言いかけるが、ああそうか、と言葉を飲み込み山田を持ち上げ2階へ。

「2階は6部屋もあるんスよね？？いやあー、めっちゃ広いわこの家！」

そうだな…1階もそうだが2階の部屋も状態がいい。夫婦二人と猫2匹に･･･お掃除ロボット1体には充分過ぎる広さだよな。

「えっ？旦那っち･･･もしかしてココで暮らす事考えちゃってる？！なら俺っち専用のエレベーターもしくはエスカレーターの設置もオネシャス！！」

ええっ！？階段にスロープくらいは付けてやるけどエレベーターは勘弁してくれよ。

「仕方ねェなあー。登りやすいヤツにしてくださいよ。てか、どうしてこの物件をピンポイントで見に来たんスか？？そりゃお得にもほどがある物件ッスけど…」

ああ、実は以前から燕三条の職人の技術を学びたいなと考えていたんだ。ほら、パラレルワーカーって最近聞くだろう？将来のためにも釣り師とものづくり職人、二足の草鞋で行こうかなと考えていたら、この物件の情報が入ってさ。ここは高い木彫技術で黒檀や紫檀の箸を作るマルナオや、爪切りで有名なSUWADAがすぐ近くにあるんだよ。そういう高い職人技術を持った企業で腕を磨いて、自分のアトリエでものづくりをしながら、自然豊かなこの三条で家族で暮らせたらいいなあ…って思ったんだよ。

「ナルホド。なんか素敵ッスね、その構想。そういや三条市民は楽しいことが大好きらしいから、ここに住んだら祭りとかイベントも盛りだくさんに楽しめそうっスよ！アンタの嫁もイベントとか祭り好きだからなー。あとこの辺りは教育に力を入れている大面小学校の学区だから、子育て世代にもオススメな上に、婿養子で来る人も多くて、地域外の人にも寛容らしいッスよ。」

そうだね、お祭り大好きうどんちゃんも満足してくれそうだし、猫たちにも静かでゆったり過ごしてもらえそうだ。都会じゃなかなか家族との時間って取れないけれど、職人のまち・三条だったら技術を磨きつつ、家族との時間も作れそうな気がするよ。外の人を受け入れやすい文化があって、さらにワンコインだから挑戦もしやすいからね。

「そうッスよー！もうコレここに決まりッスね！！他の奴らに獲られる前に早くシメてオーナーさんにTELしないとッス！！！つーワケで俺がシメとくんで、旦那っちは電話電話！！！ｺﾎﾝｯ･･･あー、ゆったりとした、それでいてワクワクするような家族の未来を思い描きながら、オーナーさんへ電話をかけるうどんの旦那なのであった。完」

･･･いや、お前が締めるなよ！！と足元の山田にツッコミながらも急いでオーナーさんへ電話を入れる俺なのであった。

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