処分にお困りの空き家を100円または100万円で売買できる、ここ「空き家ゲートウェイ」。
これまで全国のいろいろな物件をご紹介し、多くの取引が成立してきました。
そんな中、2020年に掲載した新潟県柏崎市西山町尾町にある100円物件「海沿い1DKで海の男、始めませんか?!」は、掲載から成約までなんと約3週間!空き家ゲートウェイ史上記録的な速さで決まりました。
どんな選考が行われたのか? オーナーや購入者はどんな人なのか?
「空き家ゲートウェイ」初となるユーザーさんへのインタビューに、運営者であるYADOKARもドキドキ・ワクワクしながら臨みました!
空き家オーナー 金子正幸さんへインタビュー
不安、ありませんでしたか?
―金子さんが「空き家ゲートウェイ」を知ったきっかけを教えてください。
処分したい物件があり、不動産売買の仲介を中心に10件くらい連絡をとっていました。行政がやっている空き家バンクにも登録したり、1年くらいかけたんですがなかなかうまくいかず、ようやく空き家ゲートウェイにたどり着いて。
―処分に困っていたというのは、どういった物件ですか?
私が小学生だった当時、父が購入したマンションです。海沿いのリゾートマンションとして建てられたんだと思いますが、開発に失敗したんでしょうね、1階は店舗物件ですが、今はすっかり寂れてしまって。
私自身は海外暮らしが長く「もう日本には戻らないなぁ」と考えていましたが、父の急逝で家族を現地に残し、30年ぶりに日本に帰国。遺産分割協議やら不動産売却などをすすめていた次第です。この物件はそのうちの一つで、誰も住んでいないし、今後住む予定もないにもかかわらず、毎月の管理費のほか、固定資産税や都市計画税がかかるのが無駄だなあと。
・・・・・・・・・
実際の物件詳細データ
▼【ご成約】海沿い1DKで海の男、始めませんか?!
https://akiya-gateway.com/vacant-house/033-2/
所在地 新潟県柏崎市西山町
鉄筋コンクリート造のマンション/5階建の最上階
築年数 44年
建物面積 25.08㎡
間取 1DK
最寄駅から約6km、最寄りのバス停からは徒歩約9分。
−100万円ではなく、100円にした理由は?
不動産会社などを通すと、仲介手数料として20万円近く持ち出しになってしまいますが、100円でも売れれば、自分の持ち出しゼロでプラスになりますから。もちろん高く売れればそれに越したことはありませんが、もうこれ以上時間をかけるのが嫌なので、こちらが売りたい値段ではなく、これくらいなら買ってもいいという人がいそうな値段に、と、考え方を変えました。あの物件が100万円だったら、買いたい人はいなかったと思いますよ(笑)
―ところで、空き家ゲートウェイに不安はありませんでしたか?
ありましたね。だって手数料も全く払う必要がないなんて。今後請求書が回ってくるなんてことはないですかね(笑)。
―一切そういうことはないのでご安心ください(笑)。
最終選考はジャンケンで
―ご依頼いただいた物件をサイトに掲載してから、30日の問い合わせ期間を設定していまして、その間の反響をリストにしてお送りしましたが、どう感じられましたか?
30件くらいあったことに驚きました。今まで1年やってきてうまくいかなかったのに、こんなに反響があるのかと。紹介記事がよかったですよね(笑)。コミカルで。
−どなたに購入していただくかを選ぶのに時間がかかるケースが多いんですが、金子さんはとにかく早かった! どうやって選ばれたんですか?
応募者の中には、民泊にしたいとか、高く転売したいというような営利目的の方が何人かいらっしゃったんですが、そういう方は最初からお断りして、それ以外の方全員に、この物件の悪いところを包み隠さずお伝えするメールを2回ほど送りました。例えば、立地的に海水浴場のすぐそばだけど、原発も近くにありますよ、とか、家具や食器もそのまま、クリーニングせず現状渡しですよ、など。できるだけ早く決めたかったので、2、3日返信がなかった方は、断念したんだろうと判断しました。そんなやりとりを何度かして5名くらいになった段階で、皆さんご希望されたので内見もしてもらいました。
―人数が多いので絞り込むのは大変だったのでは。
そうですね。購入エントリーの記入欄に、どう活用したいかを書く欄がありますよね。それを見て、もうちょっと詳しくうかがったり、自分自身もなぜ売りたいかをお伝えしたり、メールで何度かやりとりさせていただき、最終的になんとか2名まで絞りました。それで、最後はジャンケンで。
―ジャンケン!?
そもそも選考するような立場ではないし、最後に残ったお二人とこれ以上やりとりをしたら、感情移入しすぎて選べなくなっちゃうので。お二人から、あいこまで想定して5手分のグーチョキパーを書いたメールを送ってもらって、それを開示して決めました。
―そこまで残ったお二人はそれぞれどんな方でしたか?
どちらも海なし県在住の方。お一方は小さなお子さんのいる群馬県在住ご家族で、奥様の実家に帰省するときの宿泊先兼、夏休みのセカンドハウスとして使いたいとのこと。もうお一方は埼玉県在住で、お子さんが自立されたからこれからスローライフをエンジョイするための住まいにしたいとのことでした。ジャンケンの結果、お子さんのいるご家族に決まりました。
―営利目的では売りたくないとのことでしたが、どんな思いがあってのことですか?
子供の頃の思い出があるんです。父が忙しくて夏休みが3日ほどしか取れなかったのですが、その休みを使って家族でそのマンションに泊まることが毎年恒例でした。一日中海で遊んで、採れたての魚を食べさせてくれる店で食事をして。そんな記憶がある場所なので、同じように、家族で使ってくださる方がいいなと。この部屋、夕日だけは素晴らしいんです。ドアを出ると海が目の前に広がっていて、天気がいいと佐渡が見えて、その向こうに夕日が沈むんです。日没の時間になると、どこからともなくそんな風景を見に浜辺にやって来る人たちもいて。ただ冬は大変です。連日鉛色の空で、日本海の暴風雪をまともに受ける立地。まあそれも含めて、楽しんでいただけるなら嬉しいです(笑)
金子さんの購入者選びの条件は「なるべく早く話を進めること」かつ、「子供の頃の楽しい思い出がある物件を、その思い出ごと託したい」というものでした。
その条件に適って晴れて購入が決まったのが、群馬在住の高橋さんでした。高橋さんには、どんな思いがあったのでしょう?
物件の購入者にも聞きました!
−「空き家ゲートウェイ」を利用しようと思ったきっかけを教えてください。
バブル期に建てられた越後湯沢のリゾートマンションが“負動産”と呼ばれて格安で売り出されていることを知り、ずっとそういう物件に興味を持っていました。また、のんびり1週間くらい海沿いで暮らしたいなぁと考えていましたが、家族4人いるのでホテルだと経済的に大変だし……と思っていたところでこの物件に出会いました。
−購入に踏み切った理由を教えてください。
海のそばで眺めがとてもいいこと、我が家から妻の実家に向かう途中にあり便利なこと、物件近くの海水浴場はそれなりに海の家が多そうなことが魅力でした。また、海の近くとはいえ高台で、作りが頑丈なので津波や地震の時も安心かな、と。また、マンションなので草むしり等管理の手間がかからず、管理人さんがいい人だったことも決め手になりました。
−正直なところ、空き家ゲートウェイに不安はありませんでしたか?
ありません。見て気に入らなければ買わないだけですし。それにYouTubeのそういう系の動画をたくさん見ているので、戸建ての安い家のリスクも、マンションのリスクもわかっているつもりです。
−空き家ゲートウェイを使っていかがでしたか?
もしまたいい物件があったら利用させていただきたいです。次も一軒家ではなく、今回のような物件がいいですね。今度はスキーができるところがいいな。
−これからどんな使い方をしていきたいですか?
毎年7月~8月は、ここで20日くらいは過ごしたいです。のんびり海を見ながら、部屋でFXでもしてネットを見て過ごそうかな。もし住んでみて気に入ったら、知り合いにもすすめたり、どうにかしてあのマンションに活気が戻る方法がないかも考えたいです。下のレストランを使ってイベントしたりできないかな、等。これからどういう風に使おうかワクワクしています。
空き家ゲートウェイへのご応募お待ちしております!
実は最初に「ジャンケンが最後の決め手」とだけ聞いたときはびっくりしたのですが、理由をうかがえば納得です。オーナーさんが柔軟かつ誠実にやりとりを進め、購入者さんもそれに応えたからこそ、今回のような最速成約につながったのではないでしょうか。
懐かしい思い出があるけれど手放さざるをえない空き家をお持ちの方、空き家をそんな思い出ごと受け継いで楽しく活用したいという方、ぜひお気軽に応募してみてください!